あんずの新品種の生まれ方
日本で古くから親しまれてきているあんずですが、その品種は少しずつ変わってきています。
以前は酸味が強く、干したりシロップ漬けにしたりと加工しなければ食べられませんでした。
しかし、近年は甘みが強い、香り豊かな品種が人気となっています。
これらは以前からあったものが人気になったのではありません。
時に偶然に、時に努力によって、今日までに様々な種が誕生してきたのです。
今回は、あんずの新品種がどうやって生まれるのかを簡単にご紹介します。
あんずの受粉
あんずは3月中旬から4月上旬に開花しますが、この時期に開花する果樹で起こりやすいのが不完全花です。花弁に異常があるために昆虫が来にくく、受粉が安定しないために結実が少なくなります。
こうなる原因として、養分不足や凍害が挙げられていますが、どれも季節的なものによるもので人為的に変えることは困難なものばかりです。
そこで、基本的には自家結実するあんずですが、受粉樹を混植するようにします。
受粉樹とは、同一品種では受粉できないものを受粉させるために、近くに植える別品種の樹のことです。あんずの他の品種が使われることが多いものですが、遅咲きの梅や早咲きのすももが使われる場合もあり、これを使わなければという決まりはありません。
自然交雑
上記に述べた通り、あんずは受粉樹とともに植えられます。すると、単一品種のみだけではない交配が行われることがあります。植物ではふつう、異なる種の間の結実は成功しないのですが、それが成功することがあります。これが「自然交雑」です。授粉樹を用いる栽培を行うあんずには珍しくなく、新品種誕生ではよく挙げられます。 p>
人工交雑
自然交雑とは逆に、意図的に行われる交雑もあります。 それが「人工交雑」です。 よく聞く手段は、人工授粉でしょう。 「香りがいい」「実が甘い」「育てやすい」など、求める特徴を決め、掛け合わせが行われます。
まとめ
日本に流通している食用あんずは、自然、人口問わずに西洋系との交雑がメインです。
酸味が強いものの耐寒性のある日本のあんずに、食用に適するものの寒冷地に弱い欧州系を掛け合わせていくことで現在のあんずたちが誕生しています。
あんずに限らずですが、果樹の新品種誕生には生産者の方々の努力が詰まっています。
一度の成功で完成ではなく、安定した生産ができるまで長い年月がかかるのです。
見たことのない品種に出会った時は、どういった経緯で誕生したのか、ぜひ調べてみてくださいね。